医学部受験に適した高校の選び方
他の学部と比べ、より高いレベルの対策が求められる医学部受験は、高校入学前から始まっているといっても過言ではありません。そのため医学部受験対策の第一歩は、私立高校・公立高校それぞれの特徴を理解することです。また、近年増えている中高一貫校についても同じく特徴を理解しておきましょう。そのうえで、ふさわしい環境の整った高校選びを行いましょう。
元高校英語教師で医学部受験生の指導経験が豊富な認定心理士山崎先生が高校選びアドバイスします。
INDEX
医学部受験における私立高校のメリット
1.医学部受験対策講座が充実している
私立高校の最大のメリットは、その柔軟性にあります。公立高校に比べて指導カリキュラムを柔軟に組みやすく、その利点を生かして生徒募集を行なっているため、医学部受験対策コースのような特化型カリキュラムを売りにしている私立高校が非常に多いです。そのため、医学部受験対策専用の講座が常設されている私立高校では、常に専門的な受験対策を継続できるメリットがあります。
2. 医学部・医療職に関する情報を学ぶ授業がある
医学部受験対策コースのような特化型カリキュラムを持つ私立高校は、そのコースの実績を出すためにさまざまな取り組みを行なっています。医学部受験に必要な授業や特別講座はもちろんのこと、進学後や就職後のイメージを持つための授業を用意していることがあります。ある私立高校では卒業生のOB医師と交流したり、別の高校では興味のある診療科の論文を読んだりする授業を行なっています。受験だけに目を向けるのではなく、長期的な視野でモチベーションを維持しながら勉強できる環境があると言えます。
医学部受験における公立高校のメリット
1.医学部受験への手厚いフォローが期待できる
私立高校と比べ、公立高校から医学部受験を狙う生徒は多くないのが現実です。しかし、それがメリットになる可能性があります。医学部受験に精通した先生がいない場合には、最新情報の収集が行われます。合格実績が大きなインパクトを持つ医学部合格をねらう生徒には、先生方もより一層手厚くフォローをしてくれるためマンツーマンや少人数制で医学部受験対策をおこなってくれることもあります。
2.身近なライバルに焦りを感じずに勉強できる
私立高校の医学部受験対策コースに身を置くと、クラスの友人たちがみなライバルとなります。もちろん、大学受験はもっと広い視野で物事を見る必要がありますが、クラスのライバルの成績を見ると焦りを感じることはやむを得ません。医学部受験をする生徒の少ない公立高校では、クラスの友人たちとは異なる目標を持っていることで伸び伸びと勉強しやすいメリットがあります。高い目標を持って模試などで周囲よりも良い結果を残すことで、より成長しやすくなる「井の中の蛙効果」という心理学効果も期待できます。
中高一貫校の魅力
最後に、医学部受験にあたる中高一貫校の魅力をご紹介します。中高一貫校は中学1年生から医学部受験対策ができます。大げさではないこのメリットの理由は2つあります。
1.教師陣の持つ情報が幅広い
中高一貫校では、中学・高校間の先生方の連携体制が整っています。学習範囲や指導方法について共有されていることから、効率的な授業展開がなされています。「中学ではどう学習してきたか」をふまえて高校での授業展開が決まります。この情報共有が徹底されていることで、中高一貫校は効率的な学習ができる環境と言えます。
2.先取り学習により、受験対策の期間を十分に取れる
一般的な高校では、高校3年生の受験期直前まで新しい単元の学習が続くということが、特に理科や社会で起こりがちです。指導要領に沿って授業が進むとやむを得ないことですが、高いレベルを求められる医学部受験においてはデメリットとなってしまいます。一方で、中学のうちから高校の学習内容を先取りするカリキュラムが組まれる中高一貫校では、基礎学習が高校2年生までに完了する場合が多いです。そのため、高校3年生の1年間を医学部受験に特化した学習期間とすることができます。
私立高校・公立高校・中高一貫校それぞれの特徴を整理しましたが、大切なことは「学習者の性格や学習スタイルとのマッチング」です。環境や雰囲気は、学習者が勉強するための手段の一つに過ぎません。医学部受験を本気で狙う受験生が、最も勉強しやすい選択肢をとれるように高校選びを行ってみてください。
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