2019年度熊本大学医学部入試傾向の解説<英語編>

2020年度熊本大学医学部入試傾向の解説<英語編>

概要

・大問は4問
・読解2題、英作文1題、会話文1題 120分
・読解は記述式および選択式
・英作文は内容要約、自由英作文
・会話文は記述式の空所補充

設問別分析表

大問1、2 読解

熊本大では例年大問1、2は読解問題です。特徴としては、大問1題は英語の問いに英語で答える形式になっています。読解文の内容は特に専門的なものではなく、比較的なじみのあるテーマになっています。1題は理系・科学系、もう1題が文系・社会学系であることが多いです。語彙や構文も特別に難解なものはありませんが、英文量、解答量ともにかなり多いので時間の面で負担が大きいといえるでしょう。解答の形式としては、記述による内容説明が中心で、英文和訳は少なめです。20語程度の英語で内容説明を求める問いがあるので、英語で内容を説明する十分な練習をしておくことが必要です。文章中から解答につながる箇所をいち早く見つけ、日本語、英語を使って正確に記述する力を身に付けて置く必要があります。特に、「理由」や「結果」がどこに書かれているのか、また、ある事象の具体的な内容は何かということを正確に理解できるようにしましょう。そのための学習として、英文を読む際には必ず「理由」と「結果」、「具体例」を見つけるくせをつけておくことと、日本語の記述式問題を解く際に、英語でも答えを書く練習をしておくことが熊大の読解問題対策として非常に重要です。

大問3 英作文

2016・2017年度は、比較的短い英文や会話文を読んで内容をまとめる形式でしたが、2018年度は、テーマに対して理由を3つ挙げて80語以内で自分の意見を述べる自由英作文の形式でした。2019年度では短い英文記事を読んで100語以内で自分の意見を述べる形式となっています。この傾向から、今年度もあるテーマや英文に対して100語程度で意見論述をする形式の問題だと考えられます。よって、文法や単語の知識をしっかり身に付けておくことと、構文を使いこなして英語の文章を書く力が必要となります。ある事柄に関して、明確な理由を述べながら英語で賛成もしくは反対する文を書く練習をしましょう。過去問や自由英作文問題の解答例を参考にしながら、英語での意見論述の仕方を身に付けておきましょう。

大問4 会話文

例年大問4は会話文の空所補充問題です。与えられた会話文の空所に適語を記入する形式で、単語の最初の文字が与えられています。会話文とはいっても、会話形式の読解文であり、内容は論説文やエッセーであると考えておいてよいでしょう。大問4の難しい点は、内容理解を必要とする読解文が口語表現で書かれているというところです。インタビューなどの話し言葉をそのまま使用したかたちで書いてあることもあるので、多少くだけた表現や口語表現に慣れていないと非常に難しく感じるでしょう。そして、問われていることは会話表現の知識ではなく、話の内容自体の理解であり、記述式で多くの空欄を補充しなければならないので解答には時間がかかると考えられます。この大問4に対応するためには、口語表現を含む語彙力および文法力、読解力が必要となるので、会話形式の英文に慣れておくことと、記述式の空所補充問題にしっかり取り組んでおくことが重要です。

傾向と対策

読解問題に関しては、文法および英単語やイディオムの知識を十分に身に付けておくことに加え、日本語および英語で内容を説明する練習をすることが大切です。長文を読む際には日本語訳も確認しましょう。英作文に関しては、例文集や構文集の表現をしっかり暗記して過去問などの英作文問題に取り組み、解答例を確認しなるべく多くの表現を学びましょう。そして必ず100語程度の論説文を書くことが大切です。英語で書き始める前に、日本語でいいので自分の意見の理由を簡単なメモにして文章の骨格をまず決めることを心がけてください。会話文対策としては、講演や、インタビューを文字に起こした英文を読み、口語表現に慣れておきましょう。長文の内容や解答形式を考えると、かなり時間に追われると思われるので、特に英作文の練習は必ず行ってください。

執筆者


 

松永 晶子

九州大学大学院人文科学府修士課程

大学院ではギリシャ哲学を専攻。元PMD医学部専門予備校英語講師。現在はPMDにて医学部入試問題研究や教材研究を担当。福岡通訳協会所属。翻訳家、著述家、スタンドアップコメディアンなど多彩な顔を持つ。

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL