【速報】【2020年度】九州大学医学部入試傾向の解説<物理・化学編>

【2021年度】九州大学医学部入試傾向の解説<物理・化学編>

物理講評

大問は、3問からなり、一つ一つの大問の問題文が長く手際よく処理しないと75分ではなかなか完結できないセットとなっている。特に第3問の波動(ヤングの実験)が新傾向で教科書の実験を用いた出題で戸惑った受験生が多くいたのではないかと考える。

第1問

単振動、摩擦力の問題であった。前半は台の上に物体をのせた摩擦力のある力学の問題である。しっかりとした誘導もありそれほど難しくはないが向きや運動方程式が正しく立式できないと後半の単振動で大きく失点をするので気をつけたい。

第2問

コンデンサーの挿入における電気量、電圧の問題である。典型的な問題でもありまた誘導もしっかりとあるので処理できる問題でもある。ただ(10)のグラフ選択の問題が三角関数ではなく二次関数になることに気をつけたい。

第3問

教科書にもある標準的なヤングの実験からの出題であった。対話形式で問題文の分量も一番多くかなり解きにくかった受験生が多かったのではないかと考える。教科書の参考や実験などしっかりと学習しているか否かで問題の出来不出来が分かれたのではないかと考える。

化学講評

全体的には大問5からなり、基礎、標準、応用と問題がバランスよく出題されている。内容は理論、無機、有機、高分子化学が出題されており、基礎、標準を確実に得点できるか否かで合否が決まると考える。

第1問

反応速度と平衡の問題である。問2において平衡定数の計算において固体の扱いに注意したい。問4はアレニウスの式を利用できたかが鍵である。

第2問

マンガン乾電池の問題である。前半基礎レベルであるが、問3はマンガン乾電池のある程度の知識がないと厳しいがここは、完答したい。

第3問

ハロゲンに関する問題である。前半は基礎レベルである。問4,5は結晶格子からの密度計算が煩雑であるが考え方は基本レベルであるのでしっかりと得点したい。

第4問

脂肪族化合物の構造決定問題である。前半から酸化開裂を考慮にいれて構造を考えないといけないのでかなり厄介なスタートとなり、問4でさらに立体異性体を考えるときにメソ体も考慮に入れないといけないので受験生にとってかなり難しかったと考える。問5では酸素の同位体を考慮して生成物を答えないといけないのでなかなか正解にたどりつくのは難しいであろう。

第5問

ペプチドの問題である。聞きなれないバリンを選ぶ問題であるが構造式と光学異性体というヒントがあるので平易である。問2,4それぞれの数が分かれば解答可能。
最後は配列問題であるが典型的であるのでここでは高得点が望める。

執筆者


 

理数科目専門塾・夢現ゼミ
溝渕 浩


立命館大学理工学部数学科岡山大学大学院理学研究科卒業
英才教育研究所にて副所長を務める。その後宮崎第一高校数学科主任、立命館守山高校を経て地元都城にて「理数科目専門塾・夢現ゼミ」を設立。PMDネット医学部家庭教師で宮崎地区を担当している。現在に至るまで東京大学理科Ⅰ類(のち理科Ⅲ類転部)ほか医学部合格実績多数。

理数科目専門塾・夢現ゼミ
宮崎県都城市北原町30-6、0986-23-1370

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