医学部受験のためにも知っておこう!コメディカルシリーズ〜助産師について~
生命の誕生に関わる職業の一つに、「助産師」があります。しかし、助産師の役割はそれだけではありません。妊娠、出産、育児など、女性の一生を支え、見守る専門職が助産師です。近年では高齢化や出生数の減少に伴い、助産師の数も減っているのが現状です。助産師の仕事はすごくやりがいもあるため、助産師を目指す方、興味がある方は必見です。
助産師について
助産師とは、その名の通り「助産行為」の専門職です。英語では「女性(wife)と共に(mid)」という意味合いから「Midwife(ミッドワイフ)」と呼ばれます。日本の法律では、女性のみが就ける職業になっていますが、海外では男性の助産師がいる国もあります。
助産師はかつて「産婆(さんば)」と呼ばれていました。1948年の「保健婦助産婦看護法」の公布により「助産婦」と称され、2002年の法律改訂に伴い「助産師」へと名称が変わって現在にいたります。
日本看護協会の資料によると、2016年3月末時点で助産師として就業している人は39613人となっており、2009年以降、毎年1000人前後の増加を続けています。働いている場所は病院が最も多く、そのほかには診療所や保健所、社会福祉施設・事業所などがあります。
助産師はお産の支援のほか、生活全般において、妊婦と赤ちゃんの保健指導を担います。産婦人科の医師のように、麻酔を打ったり、手術をしたりする医療行為はできません。
出産前は、食事や運動に関する「生活指導」や「健康指導」を行います。また「産前教育」を通して母親・父親になる心構えを伝えたり、出産の基礎知識を教えたり、妊婦の相談に乗って不安を取り除いたりもします。
出産時は、お産を助け、赤ちゃんを取り上げる「分娩介助」を行います。「病院・診療所」の一般的なお産では、医師1人、直接介助を行う助産師1人、赤ちゃんを受け取る助産師(または看護師)1人の3人体制で行います。直接介助をする助産師は、母体の状態を見て赤ちゃんの頭をおさえたり、医師に処置をうながしたりして、お産の進行をコントロールする役割を担います。
出産後は、入院中の妊婦の体調管理、母乳指導、乳児の保健指導などを行います。また、退院後の生活や育児に関するアドバイスなども行います。
助産師になるためには、国家資格である助産師免許と看護師免許の両方を取る必要があります。そのため、助産師国家試験と看護師国家試験の両方に合格しなければなりません。助産師になるための主なルートは2つです。1つ目は、看護学校(4年制)で看護師課程と助産師課程の両方を修了し、看護師国家試験と助産師国家試験の両方に合格して、それぞれの国家資格を取得するルートです。これは助産師になるための最短のルートです。しかし助産師課程に進むためには、3年次に定員数の少ない選抜試験を通過しなければならず、狭き門となっているのが実情です。注意点として、助産師国家試験に合格しても看護師国家試験が不合格だった場合、助産師資格を得ることができません。しかし、助産師国家試験の合格実績に有効期限はありません。翌年以降に看護師国家試験に合格すれば、助産師免許の申請ができます。2つ目は、看護大学(4年制)・短大・専門学校(3年制)で看護師課程を修了し、看護師国家試験に合格して国家資格を取得します。そして卒業後に短大・専門学校(1年)、大学院(2年)などで助産師課程を修了して、助産師国家試験を受験するルートです。
2020年2月13日に実施された「第103回助産師国家試験」の合格率は99.4%であり、毎年高い合格率となっています。どの年においても90%前後を推移しており、合格率の大きな変動はありません。
助産師正職員の平均月収は27万~33万円となっています。月収は地域や経験年数によってもバラつきが出るため、あくまでも全体の平均として参考程度にとらえてください。
高齢者の増加や出生数の減少に伴い、助産師の仕事自体がなくなることはありません。しかし、高齢出産や不妊治療に関するケアなど、時代の変化に応じて、求められる知識・経験は増えていくと考えられます。
まとめ
- 助産師は「助産行為」の専門職です。
- 日本では女性のみが就ける職業ですが、海外では男性の助産師も存在しています。
- 助産師の勤務先は、病院、診療所、社会福祉施設・事業所などさまざまあります。
- 助産師になるためには、助産師国家試験と看護師国家試験に合格する必要があります。
- 助産師国家試験の合格率は90%を超えています。
- 助産師の知識や経験は、今後さらに求められてくると思われます。
コメディカルシリーズ
医師として働く際にはコメディカルとの協働が必要不可欠になります。コメディカルとの連携が医療の質を決めると言っても過言ではありません。コメディカルにはどんな職種があるのか、仕事の内容や活躍の場にはどんなところがあるのかを知ってもらえればと思います。医学部受験において役立つ情報となります。
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