医学部の基礎知識~国立大学医学部と私立大学医学部はどう違うの?

医学部の基礎知識~国立大学医学部と私立大学医学部はどう違うの?

医学部は国立大学と私立大学で学費と入試科目に違いが大きく、この2点が選択の基準になりがちです。しかし、6年間を過ごし医師国家試験に備える場として、また将来の医師としてのキャリアを築くにあたっての違いも確認しておきましょう。

国立大学医学部と私立大学医学部の基本データ

・医学部の数

日本全国にある医学部の数は、文部科学省の管轄外である防衛大学校も含め、82校あります。国立大学が42校、公立大学が8校、私立大学が31校あり、さらに文部科学省管轄外の防衛医科大学校1校の合計です。

・都道府県ごとの医学部設置状況

医学部を持つ大学は、国立大学の方が数が多く、また分布も全国的です。県内に一校しか医学部がない県は30ありますが、その全てが国立大学です。相当数の都道府県で、地元から離れずに医学部に進学したい方には、国立大学が有力な進学先候補となります。

・学費

国立大学と医学部では学費に最大10倍の差があります。国立大学では6年間で約350万円、私立大学では約2000万円~4000万円が、大学に収める学費として必要です。

国立大学と私立大学の入試

入試に関しては、入試科目数や入試問題の傾向に顕著な違いがあります。
・入試科目数

国立大学では通常、共通試験も含め、5教科7科目が必要となります。私立大学では3教科4科目(英・数・理科2科目)で済むことがほとんどです。

・入試問題の傾向

国立大学は他学科とも共通の試験を利用するため、医学部のみに際立った特徴は出てきません。合格するためには、共通試験の段階から万遍なく高得点を収めることが必要となります。

国立大学は他学科とも共通の試験を利用するため、医学部のみに際立った特徴は出てきません。合格するためには、共通試験の段階から万遍なく高得点を収めることが必要となります。

国立大学と私立大学の教育内容

・医師国家試験の合格率

医師国家試験の合格率を見ると国立も私立も毎年9割前後で大きな差はありませんが、医師国家試験受験の前提となる卒業試験の合格率は、上位に国立大学が多く、下位に私立大学が多い傾向があります。最低修業年限での卒業率は、概して国立大学の方が高いと言えます。

・教育体制

国立大学、特に旧帝大は医学部設立からの歴史が長く、規模も大きいため、教員数や設備に恵まれていることが多くあります。研究医の育成に力を入れているケースも多く、3~4年次での基礎配属での研究期間が私立大学より長い傾向です。医学部在学中から大学院の授業を受け、10年間かけて博士号も医師免許も取得するMD-PhDコースを設けているのも、ほとんどが国立大学です。
私立大学では独自に最新の設備を導入していたり、国家試験対策が充実したカリキュラムであったり、それぞれに実践的な特色を持っています。

国立大学と私立大学の卒業後の進路の違い

・臨床研修

医師国家試験の合格率を見ると国立も私立も毎年9割前後で大きな差はありませんが、医師国家試験受験の前提となる卒業試験の合格率は、上位に国立大学が多く、下位に私立大学が多い傾向があります。最低修業年限での卒業率は、概して国立大学の方が高いと言えます。

・医局に残る場合

大学の医局に所属して教授職を目指したり、基幹病院で要職を担うようなキャリア形成を選ぶと、関連の大学の卒業者であることが大きく影響することがあります。特定の国立大学医学部から指導者を招く慣習となっている私立大学や病院もあり、出身大学により仕事の選択肢が左右される場合もあると言えます。

・研究医になる場合

研究医の養成に力を入れているのは国立大学です。私立大学は概して臨床医の養成を目的としています。学部生時代の基礎配属で実験などの研究の基本を学ぶ時間を十分に取っているのは主に国立大学で、卒業後に研究医の道を選択しやすくなっています。

国立大学医学部と私立大学医学部の違いのまとめ

・国立大学医学部と私立大学医学部では、国立の学費が10分の1前後
・国立大学医学部は入試の必要科目が多い
・国家試験対策講座など、私立大学医学部は独自の学生サービスを提供
・国立大学医学部の方が研究医になる環境が充実

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