2020年度福岡大学医学部入試問題の傾向分析〈物理編〉

2020福岡大学-物理-傾向と対策

概要

  • 大問は3問
  • 解答時間は理科2科目で120分
  • 選択問題が大問2つ 答えのみを記述する大問が1つ出題された。

設問別分析

大問1(波動:斜めに薄膜に入射する光の干渉の問題)

状況の設定は典型的で、教科書や問題集によく載っている問題である。
(1)~(7)までは、斜めに入射した光と、それに平行に入射した光の干渉条件についてである。屈折率がnの媒質中では光の速度、波長が1/n倍になることや、スネルの法則といったことが問われている。入射した光は媒質中で反射し、位相がπ[rad]だけずれるため、平行に入射した光との強め合う条件は光路差が(mを0,1,2,…として)mλではなく(m+1/2)λとなることに注意する。(8)~(10)は、光が膜に対して垂直に入射する場合を考えて、光が同位相となる条件に実際に代入して、それを満たす波長の値を求めるという問題である。全体的に基本事項の確認であったり、単なる代入問題であったりするため、8割以上は正答したい大問であるといえる。

 

大問2(電磁気:電流計、電圧計、分流器、倍率器に関する問題)

(i)が電流計の問題、(ii)が分流器の問題、(iii)が電圧計の問題、(iV)が倍率器に関する問題である。電流計と電圧計はそれぞれ測定したい部分に直列、並列に接続することを問われている問題である。このことを知っていれば以降の設問も楽に解ける。分流器、倍率器に関しては、それぞれ電流計と電圧計にたいして並列と直列に接続するが、説明が丁寧なので知らなくても解けた受験生が多かったと思われる。
大問1と同様に、基本事項(ここではオームの法則など)が聞かれている問題が多いため、8割以上は正答したい大問であるといえる。

 

大問3(力学:三角台と小物体の運動)

(i)は三角台を床に固定した場合の少物体の運動を考える問題である。左右が逆になっているだけで、よくみる状況設定であるといえる。(1)と(2)は確実に正答したい問題である。
(ii)は三角台を固定せずに自由に動かせる場合の二物体の運動を考える問題である。(3)以降は台にのった座標系から考え、慣性力を考慮する方法が解きやすいと言える。(4)の立式さえできれば、以降は順に解いていくことが難しくないが、(4)の立式を間違えたり立式できなかったりした受験生が多かったのではないかと思われる。全体で5割以上は正答したい大問であるといえる。

2020年度福岡大学医学部入試問題の傾向分析〈物理編〉

傾向と対策

2020年の福岡大学医学部の物理の入試問題は、昨年、一昨年に比べると若干難化したといえる。特に問3の力学が、受験生にとっては慣性力を考慮した運動方程式を立式することが少し難易度が高いため、完答することが難しいといえる。
しかし、大問2のように、ある程度の基礎事項を覚えていれば、詳細を知らなくても完答できる可能性のある問題も出題されているため、本番ではそういった問題を見極めることも重要である。

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