多くの併願ができるメリットがある私立医学部ですが、地域枠推薦の場合は専願受験が基本となります。また、地域医療に従事する意志が明確な医学部受験生のみが志願するので、競争がやや緩めになる場合もあります。2020年度の実施例も見ながら、2021年度私立医学部地域枠推薦の入試科目や実施大学・対策などを確認して、医学部合格のための選択肢を広げておきましょう。

私立医学部地域枠推薦の入試科目と対策

私立医学部地域枠推薦では、基本的に小論文・面接の試験が実施されます。英語や数学などの学科試験があわせて実施される大学もありますが、基本的な出題がなされる場合が多いです。英語や数学で差がつきにくい場合は一般入試と比べて面接・小論文の出来が合否に影響を与えやすいため、地域枠推薦を受けるなら早めに面接・小論文対策を徹底しておいてください。
ただし、地域枠推薦は定員が限られていることも多く、他の受験生のレベルによって合格ラインが変わりやすいです。そのため、地域枠推薦だけを目指すのではなく、仮に合格に至らなかった場合は一般入試前期なども受けやすいよう、一般入試レベルの学力をつけておくことをおすすめします。

福岡大学医学部の地域枠推薦入試は小論文不要

福岡大学医学部の地域枠推薦入試は、2020年度は定員10名で実施されました。英語・数学・面接が実施され、小論文試験はありません。小論文が苦手な受験生はぜひ検討してみましょう。面接はグループ面接での実施実績があります。個人面接とは異なり、他の受験生とのコミュニケーションも求められるため事前に練習しておくことが欠かせません。学校や塾・予備校などでグループ面接のポイントを教えてもらい、可能であれば模擬面接を受けておきましょう。
試験の実施時期が11月で12月上旬には合格発表が実施されることから、早めに合格を決めたい受験生にも適しています。また、他大学や他学部に進学したもののやはり福岡大学医学部で医師を目指したい受験生の場合は、高校卒業からやや年数が経過していても出願可能な点も特徴です。

久留米大学医学部では地域枠推薦の定員が20名

久留米大学医学部地域枠推薦入試は、2020年度で定員が20名と多めに確保されています。現役生に加えて、1浪生・2浪生も出願可能です。2浪生は推薦入試の出願資格を満たせない大学も多いですが、久留米大学医学部の地域推薦は受験資格があります。
試験内容は、基礎学力テスト（英語100点、数学100点）と面接（50点）、小論文（50点）でした。求められる評定平均値も3.8以上と極端に高いわけではないため、久留米大学医学部への進学や地域医療に関心がある受験生は前向きに受験を検討してみましょう。
また、地域医療への従事期間は卒業後2年の臨床研修と、その後4年の指定医療機関での勤務となっています。合計6年の拘束は長いように感じるかもしれませんが、6年間経験を積んだあと、別の地域などで活躍したい医学部受験生も検討の価値はあると言えます。

2021年度私立医学部地域枠推薦なら年度末の過密日程を避けやすい

2021年度入試は、新型コロナウイルスの影響で共通テストが後ろ倒しになるなどの変更が生じる可能性があります。仮に共通テストが後ろ倒しとなれば、私立医学部一般入試の日程が過密になるリスクに要注意です。共通テストが延期された場合でも2021年度が3月末までとなれば、私立医学部一般入試後期の試験日が重複しやすくなり、受験機会が減少することもあり得ます。
そのため、2021年度入試で医学部進学を確実に決めたいと考えている受験生は、私立医学部地域枠推薦入試を受験して早めに受験を終えるのも一案です。現役生は臨時休校による学習の遅れが不安かもしれませんが、地域枠推薦の場合は多浪生に受験資格がない大学も見られます。できるだけ現役生間での競争になる大学の地域枠推薦を狙ってみましょう。浪人生の場合は、現役生が学習の遅れを取り戻しにくい早めの時期に実施される地域枠推薦を目指すのも1つの方法です。
いずれにせよ、2021年度は入試スケジュールが例年と大きく変わる可能性があります。そのため、今は私立医学部を専願受験する予定ではない受験生も、受験情報を確認して私立医学部地域枠推薦についても知っておくと良いでしょう。

まとめ

• 私立医学部地域枠推薦は面接・小論文で、英数理実施でも基礎内容が中心
• 久留米大学医学部地域枠推薦のように2浪生も出願可能な場合あり
• 2021年度は早めに私立医学部地域枠推薦を受けて年度末の過密日程リスクを避けたい