新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるストレスを時計遺伝子に注目して免疫をアップしよう!
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、不要不急の外出を控えている人も多いのではないでしょうか。ニュースを見たら、毎日どの番組も新型コロナウイルス感染症のことばかりです。感染を予防するために、やりたいことを我慢して耐えている人もいるでしょうし、我慢の限界を感じている人もいるでしょう。
ニュースを見て自分がコロナにかかったらどうしよう・・・
このままコロナの影響が続いたら仕事は大丈夫だろうか・・・
受験や入試、学校の勉強はどうなるのだろう・・・
と不安を募らせている人もいるのではないでしょうか。自分の思い通りにならない環境、自分の意思とは関係ない状況を強いられる心理状態は、とてもストレスを感じやすい状態です。
ストレスとは・・・
そもそも、ストレスとは何でしょうか。ストレスという言葉を現在用いているような意味で最初に使用したのは、カナダの生理学者Selye,H(セリエ)です。セリエは外部刺激が引き起こす歪みに対して生体が示す非特異的な反応状態のことをストレスと定義しました。もう少し分かりやすく表現すると、周りからの刺激に対して生じた身体の変調や不調のことです。さらに、セリエは生体が外部から物理的、心理的、社会的に受ける様々な環境刺激をストレッサーと呼びました。
例えば、騒音や暑さのような日常生活の刺激や、転職や入学などライフスタイルの変化による刺激もストレッサーになることがあります。人間関係、仕事、勉強など全てストレッサーになるものです。特に、今日では新型コロナウイルス感染症が大きなストレッサーになっています。これらストレッサーに適応しようと、心や体は様々な反応を引き起こします。このようにストレッサーに適応しようとしておこる一連の反応をストレス反応と呼んでいます。
ストレスと自律神経の関係
ストレッサーによって引き起こされたストレスは、自律神経のバランスを乱していきます。私たちの体はストレスが生じるとそれに対抗しようとする反応を起こします。その反応のひとつとして、自律神経の中でも交感神経という体を興奮させる神経が活発になります。交感神経の働きによって体が緊張状態になり、心拍の増加や血圧の上昇が起きます。ストレスが一時的なものであれば、交感神経が働いた後に、リラックスしている時に働く副交感神経が働き、自律神経のバランスが整い、体調も通常の状態に戻っていきます。ところが常にストレッサーによってストレスを感じている状態が続くと、常に交感神経が働く状態が続き、自律神経のバランスが崩れ、免疫力が低下してしまいます。
自律神経の乱れが免疫力を下げる
連日、新型コロナウイルス感染症のニュースが流れ、新しい生活様式が求められる中で、常にストレスを感じ続けている人もいるでしょう。このようにストレスを感じている状態が続くと自律神経のバランスが崩れ、免疫力が低下し体調が悪くなることがあります。そして、体調が悪くなり不安な気持ちやストレスを感じ、さらに自律神経のバランスが崩れ、免疫力がますます低下してしまうという悪循環になってしまいます。このような悪循環にならないためにも、ストレスを感じる状況でも自律神経のバランスを整える方法を知り、少しでも免疫力をアップさせることは大切です。
※免疫力は“食事”や“睡眠”でもアップさせることが出来るので、効率よく上げましょう。
自律神経と体内時計・時計遺伝子の関係
自律神経を整える方法のひとつとして注目されているのが、時計遺伝子です。時計遺伝子という言葉をご存知でしょうか。2017年度のノーベル生理学・医学賞が体内時計の分子メカニズムを解明した3人のアメリカ人マイケル・ロスバッシュ、ジェフリー・ホール、マイケル・ヤングに与えられたことで、時計遺伝子が注目され、一般の人にも知られるようになりました。私たちの体には体内時計(サーカディアンリズム)と言われる機能が備わっているのですが、この周期は24時間よりも少し長く、体内時計と地球の周期が少しずれてしまいます。さらにコロナの不安や心配事によって、睡眠時間や活動する時間が不規則になるとそのずれが大きくなります。そのずれは身体の不調、自律神経のバランスを崩してしまうことにつながり、免疫力を低下させてしまいます。自律神経のバランスを崩さないためには、体内時計を正常な状態に保つことが大切です。この体内時計と大きな関わりを持っているのが臓器・血管・皮膚など様々な部位にある時計遺伝子なのです。この時計遺伝子が正常に働いてもらうことによって、体内時計も正常に働いてくれるのです。
時計遺伝子に正常に働いてもらう方法
時計遺伝子が正常に働く方法はいくつかあります。その方法を紹介すると、
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POINT①まずは朝起きたら日光を浴びることが大切です。目が覚めたらカーテンを開け、日光を浴びてください。光が目を通して脳に刺激を与えます。
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POINT②つぎに朝食をとりましょう。朝食を摂ることで内蔵の時計遺伝子が調整されます。夜はあまり明るい光を目に入れないことも大切です。
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POINT③寝る前のスマートフォン使用によるブルーライトの刺激はあまり良くないので、使用は控えましょう。
日常の些細なことではありますが、ちょっとしたことを意識するだけでも時計遺伝子が働き、自律神経のバランスが整い、免疫力アップにつながっていきます。新型コロナウイルスの影響が続く中で、日常生活を少し見直してみてはどうでしょうか。
参考文献
清水栄司 『自分でできる認知行動療法:うつと不安の克服法』 星和書店 2010年
鈴木 祐 『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』 鉄人社 2018年
小林弘幸 『病気知らずの医者がやっている免疫力を高める最高の方法』 宝島社 2020年
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