2021年度医学部共通テスト利用に向けて 英語リスニング対策

 

大学入試共通テストの英語リスニングでは、問題数がセンター試験の約1.5倍になり、一回しか読み上げられない問題もあるなど、より実践的な英語力が問われます。きちんと聞き取れるリスニング力を身につけるための仕組みから解説します。

①大学入試共通テストの英語リスニング

 

共通テストの英語リスニングは、センター試験と比べて難易度が上がります。試験時間は同じ30分間なのに対し、読み上げられる語数はセンター試験の約1150語に対し約1500語。問題数も、25問だったのが35問程度に増える見込みです。読み上げ回数もセンター試験では全問2回のところが、前半は2回、後半のまとまった文章は1回に代わります。

全体的により運用力の高さが問われる試験となっており、リスニング教材の学習に加え、PMD予備校の”All English”のようなネイティブ・スピーカーによる授業で、しっかりと対策する必要があるでしょう。

配点はセンター試験の50点に対し100点と大きくなったように見えますが、あくまでも素点です。リーディングとの配点は各大学の裁量に任されていますので、9:1の大学から1:1の大学まで、比重は様々です。

2021年度共通テスト英語編(リーディング、リスニング配点)

②英語と日本語の違い

 

日本語を母語としていると英語を聞き取るのが難しいのは、なぜでしょうか? 大きな原因は、英語には日本語にない音、日本語にはない音の区別があることでしょう。言葉を構成する「音」が聞き取れない状態で文全体を正確に理解しようとしても、うまく行かないのは当然のことです。

日本人が区別できない典型的な音は、英語の母音や、/l/と/r/です。母音の場合は主に口の開け具合が異なる母音が、それに近い開口度の日本語の母音として聞き取られます。/l/と/r/の場合は、舌先が歯茎についたままなのが/l/、離れているのが/r/ですが、そのどちらも日本語には存在せず、舌先で歯茎を弾くラ行の音が充てられます。それなりに類似した音が見つかるため、自動的に日本語音に振り分けてしまうのです。

参考書などに出ている発音の仕方をよく見て、自分には区別がつかなくても、発音の仕組みが違うことを理解しましょう。そして電子辞書や”All English”の授業などで、実際の発音を聞いて覚えましょう。この時に自分でも発音できるように練習すると、聞き分けも容易になります。能動的に区別できる音は、聞いても違いが分かるものです。

 

 

③リエゾン、強弱、注意するべき発音

 

単独の音が聞き分けられても文中での自然な音変化も分かっていないと、結局聞き逃してしまいます。

 

リエゾン(リンキング)

語末の子音と語頭の母音が繋げて発音される
例)talk about(トーク・アバウトではなく、トーカバウト)
come on in(カム・オン・インではなく、カモニン)

 

強弱

強勢アクセントのない母音、文法要素的な語(冠詞、接続詞、前置詞、代名詞、関係詞、助動詞、be 動詞)は非常に弱く発音される。

・/n/や/l/に隣接する/t/と/d/は、ほとんど聞こえない
例)little(リトルではなく、リル)
winter(ウィンターではなく、ウィナー)
mostly(モーストリーではなく、モースリー)

 

④リスニングを鍛える方法論

 

リスニングの学習は、②のような単独の音の聞き分けと③のような文の流れの中での英語を聞き取ることの2段階に分けられます。音を正確に聞き取る訓練に相応しいのが「ディクテーション」で、文全体を聞く能力を身につけるのに役立つのが「シャドーイング」です。

 

ディクテーション

英語の音声を聞いて、書き取る。綴りと発音を一致させるのに有効で、英文を読めるけれど聞き取れない人に特に必要なトレーニング。

 

シャドーイング

英語の音声を聞いて、ほぼ同時に真似て発音する。意味と発音を結びつけるのに有効。強勢アクセントと音の弱化、イントネーション、スピードなどが身につき、聞き取れるようになる。

 

リスニング

リスニング問題の実際的な苦労としては、聞いた内容について問題が出ることです。ディクテーションやシャドーイングの訓練を重ねていれば全体的な話しの流れは掴めるはず。問題を解けるレベルにするためには、内容の重要度にメリハリをつけて整理しながら聞くと良いでしょう。数字や人物の関係、発言内容、頻出するキーワードなどは良い手掛かりになります。

 

 

⑤リスニング対策ツール

 

日常生活の中でも、ネイティブの英語を聞く機会は作れます。テレビや映画で英語を選択したり、YouTubeで英語の動画を見たりすると興味のある番組を選べ、楽しみながらリスニングに慣れることができるでしょう。最初からは無理でも、日本語や英語の字幕付きで内容を理解したら、英語音声だけで聞いてください。

より試験向けには、テレビでニュースを見る時に二重音声の英語に切り替えると、時事英語の勉強になります。余裕があればCNNでアメリカ英語、BBCでイギリス英語と聞ける英語の種類を増やしておくと、より周到な試験対策となります。大手メディア(CNN、BBC、NHK WORLDなど)はインターネット配信もしていますので、スマートフォンでも視聴できて便利です。

 

アプリ・リンク

 

 

⑥カタカナ語の問題点

 

日本語中のカタカナ語は英語の発音とかけ離れている、もしくは英語由来でないため、英単語だと思っていると失敗します。例えばウィルスは「virus(ヴァイラス)」ですし、アンバランスは実は和製英語で、英語では「imbalance(インバランス)」です。通常の日本語の単語と同様に、対応する英語を出来る限り確認しておきましょう。

 

まとめ

 

・大学入試共通テストの英語リスニングは難易度が上がる

・一回しか問題文が読み上げられないものもある

・英語の音の特徴を整理し、理解する

・ディクテーションとシャドーイングで基礎を作る

 

 

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