2023年度私立医学部共通テスト利用について

2023年度私立医学部共通テスト利用について

2021年度から、大学入試共通テストが開始されました。私立医学部でも約半数の大学で共通テストの結果を利用する入試が行われています。そこで、2023年度私立医学部の共通テスト利用入試について、必要な科目数や募集定員、倍率等の基本情報と、メリット・デメリットを概観しましょう。

 

私立医学部入試での共通テスト利用とは

私立医学部入試での共通テスト利用とは、入試の学力検査を大学入学共通テストの結果を活用して行う入試です。私立医学部の約半数で実施されています。
ただし、2021年度から始まった共通テストの受験に加え、大学独自の面接や小論文の受験も求められる場合が多いです。私立医学部によって共通テスト利用の形式には少しずつ差があり、小論文が不要の医学部もあります。

 

定員や倍率、必要科目

私立医学部の共通テスト利用入試は、募集定員が10人~20人以下と少なめのことが多いです。共通テストを1回受けるだけで複数の大学に出願しやすくなっていることもあり、倍率は一般入試より高い数十倍に達します。合格のボーダーラインも共通テストの得点率が9割前後の医学部が多く、競争率の高い入試です。
共通テスト利用入試の必要科目や配点は大学や入試方式により異なります。PMDでは、大きく以下の3型に分類しています。

 

Ⅰ型<3教科>:英数理(理)が中心 <例>
獨協医科大学杏林大学東海大学近畿大学帝京大学関西医科大学(共通テスト利用選抜後期)
Ⅱ型<4~5教科、国語は現代文のみ>:英数国理理が中心 <例>
愛知医科大学関西医科大学(共通テスト利用選抜前期・共通テスト一般選抜併用)、福岡大学大阪医科薬科大学藤田医科大学国際医療福祉大学
Ⅲ型<4~5教科、国語は古文・漢文も含む>:英数国理理が中心 <例>
埼玉医科大学東京医科大学産業医科大学順天堂大学

 

Ⅰ型の中には、合計必要教科数は3教科で変わらないものの、国数選択(獨協医科大学医学部、近畿大学医学部共通テスト利用方式中期)と国数理から2科目選択(近畿大学医学部共通テスト利用方式後期、帝京大学医学部)という例外もあります。

Ⅱ型の関西医科大学医学部共通テスト利用選抜(前期)や国際医療福祉大学、Ⅲ型の産業医科大学や順天堂大学では社会も必要となっています。

 

共通テスト利用の特殊なもの

私立医学部の共通テスト利用入試では、共通テストと小論文、面接で合否が決まる形が一般的ですが、その他のパターンもあります。

共通テスト利用の一般的パターンに当てはまるものの、様式が細分化されているのが近畿大学医学部の共通テスト利用方式です。前期の3教科4科目(英数理理)、中期の3教科4科目(英、数/国語(現代文のみ)、理理)、後期の2~3教科3科目(英、数/現国/理/理から2科目)と3種類あり、非常に選択の幅が広くなっています。後期で理科を2科目選択すると、英語・理科の2教科のみです。

 

産業医科大学、近畿大学共通テスト併用方式A日程は共通テストと一般入試の併用式で、共通テストと学力試験両方の受験が必要になります。また、日本医科大学の共通テスト併用(一般選抜後期)には共通テスト国語と、大学独自の英数理理が必要です。

また、AO入試の中には、共通テストの成績を学力検査として活用する大学もあります。共通テスト利用を検討する時は、自分がAO入試の出願要件に該当するかも確認してみると良いでしょう。

 

共通テスト利用入試のメリットとデメリット

受験生にとって、共通テスト利用入試のメリットとデメリットは何でしょうか。

メリット第一のメリットは、一回の共通テスト受験で複数の大学の学力試験が済ませられることです。特に国公立医学部の受験生は共通テストを必ず受験しているでしょうから、一般入試の対策不要で私立医学部を受験できることになります。
また、一次試験分の受験料、交通費、宿泊費が不要になり、時間や費用面でも助かります。地方在住の医学部受験生には特にオススメです。
第二のメリットとしては、受験のチャンスが一回増えることです。共通テスト利用入試と一般入試を併願すれば、医学部合格のチャンスが広がると言えるでしょう。
デメリットデメリットは、共通テストの受験が一回勝負であることです。共通テストは2021年度に開始されたばかりで、出題傾向や難易度がまだ安定していません。
2022年度共通テストでは数学などが極端に難化し大きな話題となりました。共通テスト利用入試を中心に受験スケジュールを組むと、共通テストで失敗した場合に医学部受験全体への影響がとても大きいです。
共通テスト利用だけで受験予定だった私立医学部については、出願を諦めることすらあり得ます。
また、私立医学部のみの受験生は、受験校の共通テスト利用入試の科目によっては国語や社会の対策が必要になります。共通テストだけのために国語や社会の対策に時間を取られる点を負担に感じることもあるでしょう。

 

まとめ
・共通テスト利用では、学力試験に共通テストの結果を利用
・私立医学部の約半数で実施
・定員は10~20名で、倍率は一般入試より高い
・難易度が読みづらい共通テストで失敗すると医学部受験の計画全体が狂う可能性
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