2019年度九州大学医学部入試傾向の解説<数学編>
INDEX
概要
- 大問は5問
- 解答時間は150分
- 記述形式
- 医学部のみの問題は無し
設問別分析表
大問1(数学IIIの積分と極限)
三角関数の積分と極限の問題。
積分計算後二変数関数の最小値を求め、その極限を求める。
部分積分法などの計算問題である。
三角関数の周期性に注目すればよい。
大問2(恒等式)
(1)次数決定の問題。偶奇から次数を絞り込む際の記述がやや難しい。
(2)(1)がヒントとなっており各場合で考えればよい。具体的な形でf(x)とg(x)をおくことができるので、条件式に代入する。係数を比較することで、連立方程式を立式し、それを解く。
大問3(確率と複素数平面)
(1)判別式からbの条件を絞り、丁寧に数え上げればよい。
(2)±1の解のみを持つ場合か共役な複素数解を持つ場合かに分けて考える問題。
(3)図を考えることにより偏角が120°か150°のときしかないことに気がつきさえすれば数え上げるだけの問題。図形的考察を必要とする問題である。
大問4(数列と漸化式)
何についての漸化式を立てるかによって計算量が変わる問題。
線分についての漸化式が計算量が少なくなる。
どれだけ演習してきたかにより差がつく問題である。
大問5(複素数平面)
一次分数変換の問題。頻出の問題であるが計算がやや多く、条件(ウ)の扱い方が難しい問題であった。(ア)でa,b,cの値とその間の関係性が定まり、(イ)によってbの絶対値が1になることがわかる。そして(ゥ)によってbの値が具体的に定まる。
傾向と対策
大問5問構成は例年と変わりないが、小問による誘導形式の問題が減少したこともあり、昨年よりやや難化している。例年と比較しても難易度はやや難。ここ2年ほど誘導の減少傾向がみられる。今後の動向に注意したい。小問による誘導がなく、第4問のように解法により計算量が変化するなど自力で解法を選択する能力により差がつく問題も出題されている。証明問題も多く出題される。単純な計算問題や数え上げの問題も出題されるが計算が煩雑な問題が多く正確な計算力も必要である。また、第5問のように頻出の分野ではあるが、思考力がためされる問題もあり単純なパターン演習だけでは対応できなくなりつつある。
頻出の分野は、数IIIの微分積分、複素数平面を中心に幅広い分野が出題されるので、標準的な問題により解法のパターンを確実に習得し、さらには応用力をつけるために少し難しい問題にも数多くあたり実戦練習をしておく必要がある。「なぜその解法を選択するのか」「他の解法のメリット・デメリットは何か」「条件が変わると解法はどのように変わるのか」などを常に意識した学習を積んで問題への対応力をつけることが望ましい。
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