2019年度佐賀大学医学部入試傾向の解説<数学編>
INDEX
概要
・大問は4問。
・解答時間は120分。
・記述形式。
・大問3の(3)と大問4が医学部のみの問題。
設問別分析表
大問1(確率)
(1)確率の基本題。場合わけが必要であることまで記述できるかどうかが問われる。t=0,9,10のとき求める確率は0となることに注意する。
(2)(1)と同様に場合わけまで記述できるかどうかが問われている。後半は三次不等式がでてくるが落ち着いて確実に得点したい。すぐに展開せずに処理すると計算量は減る。
大問2(数学IIIの微分積分)
(1)回転体の体積を求める問題。計算がやや煩雑であるが確実に得点したい。計算しなければならない積分計算は三通りあるが、sinxcosxの積分は0になることに注意する。
(2)そのまま微分しても解けるが計算がやや煩雑になる。置換すると計算量を減らすことができる。増減表よりa=2のときVは最小となる。
大問3(複素数平面)
(1)前半はド・モアブルの定理を利用する基本題。後半は見かけが分かりにくいが基本的な因数分解の問題。
(2)共役な複素数さえ理解していればあとは高次方程式の問題。ド・モアブルの定理によりn乗はn倍になることを分かっているかがポイントである。
(3)【医学部のみの問題】(1)を利用すればよいが、気がつくかどうかが勝負の分かれ目である。途中、αの7乗以上が式に現れるので、α^7=1となることに注意して式変形する。
大問4(整数)
【医学部のみの問題】
(1) 対偶を利用する典型的な問題。合同式を用いずとも示せるが、合同式を利用すると簡単。
(2) (1)の利用に気づけば解法は分かりやすい。しかし記述がやや難しい。
(3) (2)と同様に記述が難しい。mが偶数か奇数かで場合分けをして、それを満たす自然数x,yが存在しないことをそれぞれ示す。
傾向と対策
今年の医学部のみの問題は大問3の(3)と大問4であり、他の2問は誘導がなくなっている程度でほぼ同じ問題である。難易度は例年並で基本的から標準レベルの内容の出題が多い。
- 大問1は確率の問題で場合わけを見落とさない洞察力、思考力が問われる。落ち着いて得点したい。
- 大問2は数学IIIの微分積分からの出題で完投できる計算力は身につけておきたい。
- 大問3は複素数平面からの出題で標準的な問題である。(1)(2)は複素数平面は基本問題のみであり高次方程式の割合が大きい。(3)は差がついた問題であった。
- 大問4は整数問題で(1)は対偶を利用すると解けるが合同式を利用すると簡単に解ける。学んでおきたい内容である。(2)、(3)は(1)を利用する応用問題であるが、論述で差がつく問題である。正確な論述ができるかどうかで得点に差がついたと考えられる。論述の練習はしっかりやっておきたい。
佐賀大学では数学IIIの微分積分をはじめ、整数問題をはじめとする証明問題、場合の数と確率、ベクトル、数列、などの分野から多く出題される。これらから出題されたら確実に得点できるように対策をとっておいてほしい。基本から標準問題を中心に幅広く学習をしておくこと。
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