医学部受験する子どものメンタル、親はどうサポートする?
INDEX
不安を抱えている子どもとの接し方は?
子どもが「落ち込んでいる」と感じたときは、話を聞いて同調する
受験シーズン真っ只中、受験生とともに二人三脚で頑張るお母さん、お父さんも多いことと 思います。受験に立ち向かうのは子どもたち本人ですが、それを見守る側の気持ちの持ち方 やスタンスもまた、試験本番と同じくらい子どもにとって重要で、メンタルにも大きな影響 を与えています。
受験、しかも医学部という高いハードルを越えようと頑張る子どもたちは、少なからず「不 安」や「ストレス」と隣り合い、切っても切り離せない関係にあります。まだまだ未熟な子 どもたちの心の変化に素早く気づけるのは、そばにいる家族やご両親です。
「うちの子ちょっといつもと違うかも」「落ち込んでいるみたい」と感じたとき、親はどんな姿勢で子どもの声に耳を傾け、対応すればよいのでしょうか。
子:自信がなくなってきた
親:そんな考えだと合格できないよ、気持ちを強く持って頑張れ
子:……
親はなんとか励まそうとこのような言葉をかけたのでしょうが、これは NG です。
子:自信がなくなってきた
親:そうなんだ、自信なくなったんだ? 何かあったの?
子:うん…実はね…
例えばこのように、子どもからの SOS をさえぎらず、まずは同調しながら耳を傾けることが大切です。
意見を求められたら、押し付けないよう「I メッセージ」で
聞くだけでなく、子どもから「どう思う?」と意見を求められたとき、ここはどうしても自分の意見を伝えたいと思ったときは「I(アイ)メッセージ」が有効です。これは自分(I) を主語に語る言葉のことです。
子:頑張っているのに、英語の点数が上がらない
親:うん、頑張っているよね。私は、他の勉強法を試してもいいと思うよ
こう伝えると、ワンクッション置いたようなソフトな印象を与えます。
しかしこれが「YOU(ユー)メッセージ」になると
子:頑張っているのに、英語の点数が上がらない
親:うん、頑張っているよね。あなたは、他の勉強法を試すべきだと思うよ
「あなたは~すべきだ」の表現は、強制的で、ちょっと突き放したようなイメージを与えると思いませんか。
まずは共感する気持ち、「うん」「そうだね」と話を聞くことが大事です。子どもがアドバイスを求めているときだけ、押し付けないよう「I メッセージ」で伝えるように意識しましょう。
メンタルを改善するには、勉強以外のところを「褒める」
子どもが勉強をサボっているように見えるとき、つい「勉強しなさい!」と自分の感情をむき出しにしがちですが、干渉しすぎないことが大事です。むしろ勉強以外のところで気づいた「褒めどころ」を、思いっきり褒めてみてはいかがでしょう。
テーブルの上片付けてくれたね、ありがとうね!
シャンプーの詰め替え補充してくれたの?助かる〜!
いつもより早く起きたね、すごい
何でもないささいなことでも、「小さいところまで自分を見てくれている、応援してくれている」という安心感につながります。受験時のささくれた心を安定させ、メンタルの改善になる「褒め癖」を身につけましょう。
ストレスを乗り越えるために「レジリエンス」を鍛える
医学部受験は、他学部の倍率と比較すると高く、受験生の多くはストレスやプレッシャーを感じます。ですがそれはみんな一緒であり、いかにそれを乗り越えていくか、その力が問われます。
そこでよく知られているのは「レジリエンス」を鍛えることです。 レジリエンス(resilience)とは「はね返り・弾力・回復力」などの意味を持つ言葉で、心理学の分野では「トラブルやストレスに直面した時に適応し対抗する力」という意味合いで使われています。例えるとすれば「心のばね」です。
ばねは負荷を与えると元に戻ろうとしますが、心にも同じような働きがあります。焦りや挫折を感じたときに「心のばね」を柔軟に伸び縮みさせ、対応していくことが大切なのです。
「心のばね」を鍛えるには幾つかの方法があります。
- 運動する
- 有酸素運動で脳内ホルモンのβエンドルフィンが分泌され、抗うつ効果が期待できる
- 呼吸する
- 呼吸を整えるとメンタルが落ち着き、抗ストレスホルモンのセロトニンが分泌される
- 感情の変化をコントロール
- 感情と姿勢は連動するもの。ストレスを感じたら視線を上に向ける、いらついたら肩のストレッチをするなど、プレッシャーを軽減するような「気分が変わること」を準備しておく。
他にも「周囲の励まし」や「達成経験を積み重ねる」など、レジリエンスの鍛え方はいろいろあります。いずれも受験生だけでなく、支える家族の気持ちにも効果が期待できますので、 家族でやってみるのもいいかもしれません。
子どもが難関である医学部合格を目指し、悩み苦しむ姿を見守り続けなければならない時期、親は身代わりになることもできず、もどかしさを感じます。家族のサポートがあれば乗り越えることができると捉え、何より子どもの力を信じ、見守っていくことが大切です。
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