2019年度山口大学医学部入試傾向の解説<数学編>

2020年度山口大学医学部入試傾向の解説<数学編>

概要

・大問は4問
・解答時間は150分
・記述形式
・医学部のみの問題はなし

設問別分析表

大問1(数学IIIの微分法)

(1)微分法の不等式への応用の典型題。微分してx>0の範囲で導関数が0よりも大きくなるので、関数は増加関数であることを示す問題。
(2)単調減少することを示す問題。計算が煩雑にならないように置き換えるなど計算の工夫が必要。
(3)不等式の証明問題。(1)と(2)を利用する問題。f(x)=log(1+x)を考えて、0<a<b<1の不等式より証明すべき不等式を示す。

大問2(平面ベクトル)

(1)平行四辺形であることを示す問題。2組の平行線で囲まれているということを示せれば、それが示せる。作図すると分かりやすい。
(2)ベクトルの証明問題。(1)と外心の性質に注目すると相似であることに気づくことができる。
(3)ベクトルの証明問題。(2)を利用する。(2)で得られた式より、式変形することで簡単に得られる。

大問3(数学IIIの微積分の融合問題)

(1)作図問題。式を理解することができれば容易。まずは与えられたf(x)の絶対値記号を外して、具体的な関数形を描くことから始める。
(2)定積分の計算問題。積分区間を3つに分けることができるかがポイント。計算自体は非常に典型的である。
(3)極限の問題。(2)より無限等比級数と気づけるかが分かれ目。公比の絶対値が1より小さい等比級数の和の計算を行う。

大問4(論証と二次関数の最大最小)

(1) 背理法を利用する問題。丁寧に場合分けをして証明すればよいが、絶対値の取り扱いに注意する。
(2) 不等式の証明問題。(1)と同様丁寧に場合分けさえできれば証明できる。場合分けは三通りの場合を考えて証明する。
(3) 不等式の証明問題。(1)と(2)の利用を上手にする必要がある。

傾向と対策

医学部のみの問題はなくどれも理学部数理科学科とのみ同じ問題となっている。難易度は例年並で医学部としては標準レベルの内容の出題が多いが、なかにはやや難しい問題も出題されている。点数を7〜8割得点することを考えると簡単なことではない。
大問1は数学IIIの不等式の応用の典型題なので解法は身につけておきたい。(2)の計算の工夫や(3)の(1)(2)の利用から証明するような手法は演習で必ず掴んでおきたい。
大問2は平面ベクトルの問題であるが平面図形の割合が多い問題である。あまり慣れていない分野で戸惑ってしまうかもしれないが内容は平易。
大問3は数学IIIの微積分の融合問題である。なかなか手が回らない内容でもあるのでしっかりと演習をしておきたい。十分対策しなければならない分野なので完答してほしい問題である。
大問4は二次関数の最大最小の証明問題で(1)では背理法が出題されている。背理法で場合分けをしての論証も戸惑うことなく対応してほしい。(2)(3)は応用力が問われる問題で(3)はやや難しい。
山口大学では数学IIIの微分積分をはじめ、証明問題が多く出題される。また、多くが小問形式で出題されるため誘導に上手にのることが重要である。山口大学を受験するならば必ずこれらに対策をとっておいてほしい。

 

大学受験「数学専門ゼミナール」
堀川 真吾


熊本県立済々黌高等学校九州大学理学部数学科卒業。

私立高校の教員を12年間勤めた後、大学受験「数学専門ゼミナール」を設立。 九州大学医学部京都府立医科大学高知大学医学部産業医科大学福岡大学医学部久留米大学医学部など医学部指導実績多数。

大学受験『数学専門ゼミナール』(2019年開校)
福岡市早良区西新2丁目10番1号西新パレス内

092-406-8095

HP: https://mathzemi.com

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