医学部受験のためにも知っておこう！コメディカルシリーズ〜臨床検査技師について～

病院などの医療機関において、種々の臨床検査を行う技術者として臨床検査技師がいます。現在、新型コロナウイルスの感染拡大が広まっていますが、新型コロナウイルスの早期発見には臨床検査技師の働きが必要不可欠であり、注目されている職業です。今回は、臨床検査技師とはどのような役割を持つのか、新型コロナウイルスに対してどのような働きをしているのか、臨床検査技師になるまでの流れについて解説します。臨床検査技師の需要は急激に高まることが予測されるため、興味のある方はぜひ目指してみてください。

臨床検査技師について

臨床検査技師は、診療に必要なデータを分析し、医師に提供する検査のスペシャリストです。臨床検査技師の仕事は、血液・尿などの検体検査や、心電図・脳派検査などの生理学的検査を医師の指示のもとに行い、患者のデータを作成して診断・治療に役立てています。医療技術の進歩や分業化により、取り扱う検査対象はますます広くなっています。

最近話題になっている新型コロナウイルスに関連するPCR検査でも臨床検査技師の活躍が見られています。PCR検査というのは、微量の検体を高感度で検出することができる手法のことです。新型コロナウイルスをはじめとするウイルスはとても小さいため、PCR検査のような手法を用いらなければ検出することはできません。また、PCR検査は簡易的であるため、すぐに大勢の方に実施できる検査として注目されています。しかし、PCR検査が簡易的であっても、実際に検査をするためには臨床検査技師が必要不可欠になります。そのため、現在の新型コロナウイルスの対策には、臨床検査技師の活躍が大きな要素となっているのです。
臨床検査技師の活躍の場は多く、代表的なのは病院・クリニック、検査センター、保健所などです。また、医療機関内に併設されている健診センターや人間ドックはもちろんのこと、製薬会社や医療機器メーカーで活躍している臨床検査技師もいます。

臨床検査技師になるには、文部科学省が指定した4年制大学、短大、または3年制専門学校で養成課程を修了し、臨床検査技師国家試験に合格する必要があります。また、臨床検査技師になるための学校ではなくても、大学で獣医師・薬学・保健学などの正規の過程を修了し卒業した人や、獣医師または薬剤師の資格を持っている人も臨床検査技師の国家試験受験資格を得られます。独学や通信教育などで資格を得ることはできないため、国家試験の受験資格を得るまでの道のりは少しハードです。しかし、資格取得後は活躍の場は多岐に渡りますし、医療系の国家資格であることから、安定して長く務められる職業と言えます。
臨床検査技師国家試験は毎年2月に実施されます。2019年に実施された「第66回臨床検査技師国家試験」の合格率は71.5%であり、他のコメディカルに比べて難易度が高い印象があります。過去5年間の合格率は70%台で推移しており、特に新卒者の合格率が高い水準になっています。その理由として、試験内容は主に学校で学んだことを中心に組み立てられているため、新しい知識を得たばかりの新卒者のほうが合格しやすいようです。
臨床検査技師の国家試験はどこでも受けられるわけではなく、北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の9都市で実施されています。
厚生労働省の発表した賃金構造基本統計調査によると、2017年度の基本給の平均は約288,500円で、賞与やその他の手当等を含めた平均月収は約360,000円となりました。しかし、経験年数や地域によっても給与の差はあるため、あくまでも全国的な統計によるデータだと捉えておいてください。
現在、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、臨床検査技師の需要は急激に高まっていると思われます。また、臨床検査技師の存在は医療、衛生の分野において欠かせないものです。早期治療や予防医療にも関わる重要な仕事であるため、大きなやりがいを感じられる職業であると思われます。