2021年度共通テストを予想!「ブルームのタキソノミー」とは?
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2021年から大学入試改革、共通テストのねらいとは
2021年から共通テストが行われ、大学入試が大きく変わります。それ以降も入試において様々な変化が起きることが予想されています。そんな中で受験に対して不安を抱えている人もいるかもしれません。
入試制度が大きく変わる理由としては、文部科学省の学習指導要領の変化が大きく影響しています。高校ではアクティブ・ラーニング(能動的な学び)の視点に重点がおかれ、教育の現場も大きく変わりつつあります。
2021年度からの文部科学省「新しい学習指導要領」を見ると、以下の3つの柱が掲げられています。
実際の社会を生きて働く
「知識及び技能」
未知の状況にも対応できる
「思考力、判断力、表現力」
学んだことを人生や社会に生かそうする
「学びに向かう力、人間性」
さらに、文部科学省の学習指導要領には、今後の共通テストと繋がりが考えられるブルームのタキソノミーについても触れられています。今回は、ブルームのタキソノミーを概観しながら、今後の入試についてお伝えしていきます。
*この記事を読んだ後に上記文部科学省のサイトの検索窓で「タキソノミー」と検索してみて下さい。おびただしい数のファイルを確認することができます。
共通テストの理論的バックボーン?ブルームのタキソノミーとは何か!?
教育心理学者のベンジャミン・ブルームは、教育目標を下記のように分類しました。
※タキソノミーは「分類学」という意味です。
-
- 【知識】 情報や概念を想起する。
- 【理解】 伝えられたことがわかり、素材や観念を利用できる。
- 【応用】 情報や概念を特定の具体的な状況で使う。
- 【分析】 情報や概念を各部分に分解し、相互の関係を明らかにする。
- 【総合】 様々な概念を組み合わせて新たなものを形作る。
- 【評価】 素材や方法の価値を目的に照らして判断する。
物事はこの順番で教えられるべきであり、学習到達度もこの順番でどこまでできればよいか考える必要があるとされています。この考え方はその後の研究や改訂により様々な様式のものが提唱されています。PISA(国際学習到達度調査)、IB(国際バカロレア)などもブルームの教育目標の分類が土台になっていると言われています。
改訂版では、①知識が記憶、⑤総合を評価、⑥評価を創造に改めてあり、文部科学省のホームページでも改訂版を活用してあります。※現在の教育場面では改訂版を活用しているようです。
【改訂版】
このようにブルームの教育目標の分類は、様々な分野で応用され活用されています。2021年度の教育改革においても、このブルームの教育分類が学習指導要領にも活用されています。
ここでの、〖創造〗とは、いくつかの要素を組み合わせて新しいものを創り出すことだと考えてください。
ブルームのタキソノミーの6段階をテストに置き換えて考える
①記憶、②理解、③応用、④分析、⑤評価、⑥創造を入試問題で捉えると
記憶 | 教科書の用語を暗記している。 |
---|---|
理解 | 教科書の用語の意味が分かる。 |
応用 | 教科書の用語を他の文脈でも活用できる。(穴埋め問題などが解ける状態) |
分析 | 教科書の用語の組み合わせ、文章と結びつけることができる。(記述問題で指定された用語や字数で問題を解ける状態) |
評価 | 教科書の用語の意味を目的に合わせて活用できる。(用語を活用できる状況や場面を記述できる状態) |
創造 | 教科書の用語を活用し、自分で新しい考えを提示できる。(用語を利用し、自分の考えを記述できる状態) |
これまでの大学入試だと③応用(教科書の用語を他の文脈でも活用できる)、④分析(教科書の用語の組み合わせ、文章と結びつけることができる。)の段階の問題が中心でしたが、今後は⑤評価(教科書の用語の意味を目的に合わせて活用できる。)、⑥創造(教科書の用語を活用し、自分で新しい考えを提示できる。)のような問題が入試に増えてくると考えられます。
例えば、資料やデータなどを見てその場で考えて解く問題、社会生活・日常生活と結びつけて考える問題、出題者の意図を読みとり必要な情報を取捨選択し自分の考えを書く問題などです。
医学部入試の小論文問題は、今後の入試を先取りしているかも!?
医学部を受験する学生の中には小論文が必要という人も少なくないはずです。医学部の小論文のテーマを見てみると、「尊厳死」「医師と患者のコミュニケション」「遺伝子治療」など医学と関係が深いテーマもあれば、一見あまり医学と関係ないのではないかと思うようなテーマも存在します。
例えば、杏林大学医学部の小論文の問題を見てみましょう。
「人生、思い通りにいかない」ということについてどのように考えるか述べる。(2017年)
「さわらぬ神に祟りなし」ということわざについて、800字程度で論じてください。(2018年)
「人を評価する」ということについて、800字程度で論じてください。(2019年)
「流行を追う」ということについて、800字程度で論じてください。(2019年)
杏林大学医学部(小論文のテーマについて)
あなただったらどのように論じますか??
医学部受験のために単純に用語を覚えただけは、文章としてはまとめにくいと思います。ブルームのタキソノミーで捉えると、①記憶、②理解、③応用、④分析の段階では回答が難しい問題です。これは、ブルームのタキソノミーの⑤評価、⑥創造の段階で考える必要があります。
このような問題は、これまで学んできた医学の用語や情報を目的に合わせて考えることができるのかが問われています。これはブルームのタキソノミーの⑤評価の段階です。医療分野も含めた自分が生活している社会に意識を向け、問題作成者の意図も考えながら問題に取り組む必要があります。
さらに、作成者の意図や医学の用語や情報を含め創造し、自分なりの考えを述べていく必要があります。これは、ブルームのタキソノミーの⑥創造の段階です。単に自分の考えを書くだけではなく、医学、社会、日常生活などの情報を結びつけ、問題に取り組む必要があります。
このように、2021年からの入試改革を先取りしているかのように医学部入試の小論文の問題には評価、創造する要素が含まれています。
医学部入試の小論文は今後の大学受験にも役にたつ
ここまで考えてきたように、新しい入試制度の中で出題される問題のヒントが医学部の小論文の問題にあると思われます。今後、医学部を受験する生徒さんは、ぜひ小論文にも意識を向けてもらえればと思います。
医師になることも踏まえ、自主的にいろんなことに取り組み、様々な情報、特に医学に関する情報に関心を持ってほしいと思っています。
そして、今後の大学入試情報など最新のもの知る必要もあります。医学部受験は他の学部と違う側面もありますから、専門家からのアドバイスも大切にしてもらえればと思います。
常に大学入試に関する最新の情報を入手するようにしましょう。
新田猪三彦先生のまとめ
①2021年以降の入試ではブルームのタキソノミーにおける「評価」・「創造」が大切
②新しい大学入試問題の対策に、医学部入試の小論文を参考にする
③最新の入試情報に意識をむける
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