医学部受験での効果的な勉強法 レミニセンスとは?

効果的な医学部受験での勉強法レミニセンスとは?

「一夜漬け」のような学習方法が非効率であることは、医学部受験対策の常識になっています。しかしこの常識を、もっと深く考えてみませんか?一夜漬け学習の方が、本番に近い時間に記憶できるし、脳を活性化させられそうとも考えられそうですよね。分散せず、まとまった時間で学習できるほうが効率的と考えることもできます。それでも一夜漬け学習が「非効率」と言い切ることのできる理由は、心理学的観点にあります。今回は「レミニセンス効果」をもとに心理学的観点からその理由を分析することで、一夜漬け学習の非効率さを理解し、そのうえで「最も効率的な学習法」を検討しましょう。

1. レミニセンス効果とは

「直前に英単語帳をまる覚えしたけど、テストでは意味を書けなかった…でも、テストが終わってから思い出して後悔した…!」
こんな経験をしたことはありませんか?人間の脳は、得た情報全てをすぐに記憶するわけではありません。その情報が必要かどうかを判断した上で、記憶するかどうかを決定しています。仮に人間の脳がそのような処理をしないとすると、たった1日で頭がパンクするほどの情報量に触れているのです。起きた時間や朝食だけでなく、通学中に見た景色や先生がした雑談、さらには休憩時間の喧騒や食堂の匂いなど…これらすべてを覚えることは不可能で、脳が必要なものを取捨選択していることには納得できると思います。
だから、テスト直前の詰め込み学習では覚えたはずの内容が思い出せず、テスト後に「そうだった!」と思い出すことがあるんですね。このように、ある情報を得た直後より一定時間が経過した後の方が思い出しやすいという現象が、レミニセンス効果という心理学的効果です。

2. 一夜漬け学習を分析し、効率的な学習法を考える

■計画性のある反復学習を!

レミニセンス効果をベースに考えると、一夜漬け学習がいけない理由の一つは、脳が情報を取捨選択し、記憶として定着させる時間がない点です。医学部受験では、必要な知識を限られた時間で活用し解答する必要があるため、時間をかけずに必要な記憶を呼び覚ますことが求められます。つまり、レミニセンス効果を引き起こすために十分に余裕を持って計画的に学習を進めておかなければなりません。受験期に入るまでに出題範囲を総ざらいしておくことで、大切な知識を整理して記憶に留める時間をつくることができます。また、エビングハウスの忘却曲線でも示されていますが、反復学習をすることでレミニセンス効果をより上手に活用することができます。

■学習と睡眠のサイクルを意識!

一夜漬け勉強の最大の欠点は「睡眠」にあります。睡眠は、脳が休まるだけでなく記憶の整理をする大切な時間です。新しい記憶を既存の記憶と関連づけたり、短時間で抜けてしまう記憶を、一生忘れない長期記憶という記憶に変換したりするのが睡眠です。つまり、睡眠がなければ知識の定着は難しく、記憶の整理ができないゆえにレミニセンス効果も起こらないのです。レミニセンス効果が起こらないと、知識や経験の積み重ねが必要な応用問題への対応が難しくなります。
また、睡眠前に整理すべき記憶がないとレミニセンス効果も学習内容の定着も起こりません。睡眠前に学習時間を確保するライフスタイルを取り入れることで、睡眠も学習もより充実したものとなるはずです。

3. 最後に

今回はレミニセンス効果と、一夜漬け学習を反面教師とした勉強法をご紹介しました。これらをベースにした勉強法ルールの一例を以下に挙げてみますので、参考にしてみてください。
レミニセンス効果を理解して、いま実施している勉強をより効率的なものに変えましょう。

[レミニセンス効果を用いた効率的な学習法ルールの例]

  • 受験直前期までに、各教科の出題範囲内容を2回以上学習できる計画を立て実行する
  • 毎日7時間以上の睡眠時間を確保する
  • 睡眠時間の直前1時間を勉強時間に充てる

執筆者


 

山崎 敬太


保有資格は日本心理学会認定心理士、メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種。
筑波大学人間学群心理学類を卒業後、高校英語講師として難関大・医学部志望者300名以上の受験指導をおこなう。
2017年より小中高生へ早期キャリア教育事業の施設長として、進学や就職を控えた児童や生徒ご家族へ相談援助をおこなう。

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