【2020年度】久留米大学医学部入試傾向の解説<生物編>

概要

  • 大問は4問
  • 理科2科目で120分
  • 論述問題あり(10字1問,20字2問,25字1問)

設問別分析表

大問1(免疫)

免疫についての知識を問う問題および計算問題。
空欄補充問題は生物基礎範囲の基礎知識が大半だが,「逆転写」のような発展的な用語も問われている。
論述も逆転写について説明するものがある。問5の計算では「両親がもつ対立遺伝子が全て異なる」という条件で,父親から受け継いだ対立遺伝子を母親から受け継ぐことはあり得ないので,
(A)の親子間で一致する確率は0%となる。(B)は父親から同じ対立遺伝子を受け継ぐ確率が50%,母親から受け継ぐ確率も50%となるので,25%となる。

大問2(血糖濃度調節・ホルモン)

血糖濃度調節とホルモンについての知識問題。全体的に基礎知識を問うている。
論述が2問あるが基礎知識で対応できる。問4の論述はⅠ型糖尿病とⅡ型糖尿病について説明すればよい。
問5のホルモンの化学的性質は教科書にあまり載っていないが,参考書や資料集には載っている。
水溶性ホルモンと脂溶性ホルモンのはたらき方の違いなどとともに,医学部入試では頻出であるので押さえておきたい。

大問3(タンパク質)

タンパク質の合成と分泌についての問題。近年の教科書で詳しく扱われるようにり,入試にも頻出である。教科書外の知識が必要な問いもある。
問2はすべての教科書に新しく載っている,フォールディングとシャペロンについて問うているが,問3のタンパク質の凝集とアルツハイマー病の関係については一部の教科書(東京書籍)でのみ扱われている。
問6も教科書の知識だけでは正解が難しく,資料集などを読んでおく必要がある。(ケ)のトリプシンは,トリプシノゲンとして分泌された後にトリプシンに変化するので,正解に入らないと思われる。

大問4(中枢神経)

脳や脊髄などの中枢神経についての知識問題。
問2は大脳の前頭葉や後頭葉のはたらきについての正確な知識が必要で,教科書によっては記載されていない。
問3は小脳,間脳など大脳以外の部位のはたらきについて問うているが「橋(きょう)」のように一部の教科書にしか記載されていないことも問うている。
リード文や選択肢の文,問われている知識などから推測するに東京書籍の教科書を参考にしていると思われる。

傾向と対策

全体的には知識問題が中心である。
論述問題も基本的な知識について書かせるものばかりである。計算問題が出題されているが,さほど難しくはない。
ただし,知識については教科書に載っているものを正確に覚えておく必要があるのに加え,教科書外の知識も必要で,参考書や資料集にもしっかりと目を通しておく必要がある。
教科書は出版社によって扱われている知識が異なっているが,今年度の問題については主に東京書籍の教科書を参考に作問されているように思われる。

執筆者


 

福井 慎吾

鳥取県出身。

九州大学医学系研究科分子生命科学系専攻博士後期課程。

私立青雲高校教諭を経てPMD医学部専門予備校生物講師。学生時代は落語研究会に所属しており現在まで活動を続けている。芸歴28年。講座名は六笑亭福太郎。

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL