医学部受験において多くの受験生が学ぶべき科目は英語・数学・理科の3教科です。

そのため、英語以外の文系科目が得意な場合など、自分の強みを活かせないと感じるかもしれません。

しかし、医学部受験では、英語・数学・理科以外に国語を選択できる大学もあります。国語が得意な人は得意科目を活かし、医学部合格の可能性を広げてみましょう。

医学部受験で国語が使える？！

医学部受験の入試科目には、理系科目の理科・数学に加えて、文系科目の英語があるのが一般的です。特に私立医学部では、英語・数学・理科（物理・化学・生物）の中からいくつかの科目を選ぶ入試がほとんどです。

「英語は必須」、「数学はⅡBまで」など医学部ごとに違いはありますが、英数理が基本となる点は私立医学部の基本です。

ところが、なかには国語が選択科目に含まれている大学もあります。入試科目の選択肢に、国語が含まれている医学部を具体的に見ていきましょう。

昭和大学医学部では選択科目に国語が登場

昭和大学医学部では、2021年度入試から数学と国語の選択となりました。国語を加えることで、より多様な人材を集めようという意図があると考えられます。

従来は、英語・数学・理科（物理・化学・生物のうち2科目）の4科目がすべて必須という私立医学部の基本的な入試パターンでした。国語が加わることで、数学に苦手意識がある受験生も昭和大学医学部を受験校として検討できるようになりました。

医学部受験においては、小論文対策として現代文の知識が最低限必要になります。国語の勉強に力を入れていない場合でも、模試などでの成績が他の科目と比べていい場合もあるでしょう。

2021年度昭和大学医学部の国語はどんな問題だった？

昭和大学医学部の国語の問題は、現代文のみでした。評論文が4問ですべて医療系のトピックで記述の割合も高く、難易度も高いものでした。また文章量も多くスピードも要求されました。正確な読解力だけで無く、医療に関する教養や正しい考え方などを問われていますので医系小論文をしっかりと対策していると有利になります。

2021年度は国語の初年度と言うこともあり、国語が得意な生徒にとっても対策は難しかったのではないかと思います。おそらく私立文系上位校の国語の問題を解くなどしていたのではないでしょうか。

2022年度以降がどういった内容になるかは、初年度の国語で合格した生徒を見て検討されることと思います。

帝京大学医学部でも国語で受験することが可能

帝京大学医学部の入試は、英語が必須科目となっています。英語の他には、数学・物理・化学・生物・国語から2科目を選択する方式です。選択肢に国語が含まれているため、「英語・国語・生物」での受験もできます。

数学や理科に苦手意識が強い場合や、国語が得意な場合は、帝京大学医学部の過去問で国語の傾向や難易度をチェックしてみましょう。

帝京大学医学部の国語の問題傾向は？

帝京大学の国語では5問出題されます。

大問1は必須の現代文。大問2～5は現代文が2問と古文・漢文が2問となっており、この4問から2問の選択となっています。

古文・漢文が不得意な場合でも現代文だけで受験することができます。現代文の内容は医療に関するものだけでなく他学部でも出題されるような評論文も出題されています。

出題形式は5肢択一の選択問題が多いですが、記述もあります。過去問を解く以外に共通テストの問題集などで対策するのも有効です。難易度もそれほど高くないので、受験生にとっては選択しやすいのではないでしょうか。

なぜ私立医学部入試に国語の選択があるの？

以上のように、理系の学部である医学部受験において選択肢に国語が含まれている大学があります。

その理由として、医療の現場における患者やコメディカルとのコミュニケーション能力の必要性があげられます。コミュニケーションを図るには相手の発言を正確に把握する理解力と自分の意見を伝える論理的な思考力が備わっていないといけません。医療の現場においては、医学に関しての知識や手技だけでは不十分なのです。

2017年に改訂されたジュネーブ宣言でも見られるように、医師中心の父権主義（パターナリズム）から患者の自律性（オートノミー）が重視されるようになってきました。今後もこのような医療のコペルニクス的転換点において、医学部の入試内容も変化していくことと思われます。

ジュネーブ宣言 ー日本医師会ー

https://www.med.or.jp/dl-med/doctor/member/kiso/a11.pdf