医学部を目指すために~これから高校に入学して何をすればいいの?英語編

医学部を目指すために~これから高校に入学して何をすればいいの?英語編

大学入試の変革期であるこのタイミングで高校生活をスタートするみなさんの中には、医学部受験に対する不安や悩みをお持ちの方も少なくないと思います。しかし、今この記事を見ているみなさんは、新しい入試制度へじっくりと備える高校生活を送るきっかけを掴むことができています。有意義で楽しい高校生活を過ごし、なおかつ医学部受験を成功させるために、新しい入試と医学部受験への対策を学年別に考えていきましょう。

[高1]土台を固めつつ、民間試験・医学部に関する知識に感度を高める

中学3年生までに学習する英単語は1,200語程度。医学部受験に必要な英単語は一般的に3,000~3,500語、難関大医学部では4,000語程度とされています。入試制度が変わるからと言って、英単語や英文法の学習範囲が大きく変わる訳ではありません。これまでと変わらず、学校の授業を通して基礎的な力を身に付けることを最優先事項と捉えることが大事です。高校1年生の授業内容を確実に定着させることができれば計1800語程度の語彙力を身に付けることができます。焦らずに、じっくりと学校の授業内容を理解していきましょう。

とは言え「余裕のある1年生のうちにプラスアルファを…!」と考える人もいるのではないでしょうか。学校生活を満喫しつつも、早めに対策をしたいと考えるなら、オススメしたいのは「民間試験・医学部に関する知識の吸収」です。
特に、私立大医学部を考えるみなさんは、英検やTOEFL iBTについて調べてみてください。徐々に普及している英語民間試験利用可能入試ですが、そのメリットやデメリットを知っておくことで、高2以降の受験対策の方向性が変わります。

メリット:入試当日の「一発勝負」のリスクを減らすことができる、資格取得後に他科目への学習時間配分に余裕ができる
デメリット:民間試験独自の対策に時間がかかる、志望大変更に制限がかかりやすい

[高2]力試しとして、民間試験へチャレンジしてみる

受験校を絞っていく時期にもなるこのタイミングで、力試しをしてみるのもいいでしょう。民間試験は、英語学習者全体の中での自分の立ち位置を知ることのできる優れたツールと言えます。一見、医学部受験とは関係が浅いように感じるかもしれません。しかし先ほど言及したように、民間試験を導入した入試制度を設ける大学が増えています。さらに、合格後にどの程度まで英語の力を伸ばさなければならないかを客観的に把握することもできます。

ここでの注意点は「民間試験のための勉強」になりすぎないようにすることです。例えば、TOEICはビジネス英語、TOEFLは学術英語など必要な知識にある程度の偏りがあります。民間試験を意識しすぎるがあまり、基本的な語彙が疎かになるようなことはあってはなりません。あくまで本命は大学独自の入試であり、民間試験は「力試し」という位置付けで受験を考えてみましょう。

[高3]志望校を絞り、「受験対策」としての学習を行う

受験生となったら、ある程度「志望校」を絞っていきましょう。高校2年生までに蓄えた基礎知識を用いて、ついに「受験対策」に活用するタイミングです。ここでいう「受験対策」とは、受験する大学・学部の試験の特徴を理解し、それに応じた勉強を行うことを表します。例えば以下のように、大学・学部によって試験の特徴に大きな差異があります。

試験時間 大問 傾向
A大学医学部 90分 大問1~4で
英訳・和訳・英作文・長文読解
英訳・和訳ともに2~3文程度の問題が出やすい。
B大学医学部 120分 大問1 長文読解
大問2 長文読解
大問3 文法・英作文
長文は1,000語以下で選択問題が多い。文法問題では整序問題が出やすい。

このような特徴を理解しておけば、医学部受験対策を有利に進められる思考にたどり着けます。
「A大学では時間の割に大問が多いから、速読力が必要だな」
「B大学では選択問題や文法問題が出題されるから、熟語の知識や精読が試されるな」

高校3年生の勉強とは、このような意識をもって行うことで成果が全く異なります。


最後に

大学受験が大きく変わろうとしている今、先行きが見えない不安を持ってしまうことは仕方ありません。ただし、大学入試改革が進んでも変わらないことが2つだけあります。

1つめは、英語の基礎力が何よりも大切ということです。どんな受験スタイルであっても、基礎的な語彙・文法・読解力は学校で学習している内容を徹底的に身に付けることに変わりありません。その土台をもとに、各試験に応じた学習が成り立ちます。
2つめは、「受験に成功する人は高校生活を充実させた人」という鉄則です。超進学校と言われる高校では、実は他の高校よりも学校行事が充実しており、生徒たちのその行事への意気込みも段違いです。人生で一度きりの高校でのイベントに全力を注ぎ、メリハリのある高校生活を送る人こそ、受験の成功者になるのはどの時代も変わりません。

この2つの鉄則を理解した上で、充実した高校生活をイメージして日々を過ごしましょう。

執筆者


 

山崎 敬太


保有資格は日本心理学会認定心理士、メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種。
筑波大学人間学群心理学類を卒業後、高校英語講師として難関大・医学部志望者300名以上の受験指導をおこなう。
2017年より小中高生へ早期キャリア教育事業の施設長として、進学や就職を控えた児童や生徒ご家族へ相談援助をおこなう。

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